日本の人口が減少

政府が発表した統計によれば、戦後初めて日本の人口が減少し、計算よりも二年早いということだ。

基本的に人口が減少する社会で不動産価格が上昇するわけがなく、株価への影響も無視できないはずだ。

欧米のスタンダードでは、株の配当利回りは数パーセントあるが、日本では一パーセントほどしかない。それだけ、日本の株価が欧米よりも高く評価されている、いわゆる、ジャパンプレミアムであるが、これを正当化していた理由の一つは含み資産という形で保有している不動産の評価額である。

人口が減るということは、単純に考えて不動産需要の減少につながる。

不動産がリスク資産であるという認識にかわって、予想利益率と金利の関係によって不動産価格が決定されるのであれば、現在の半値くらいまで不動産価格が下がるのが当然。

銀行の金利が5パーセントになったとき、7パーセント程度の利回りの投資用不動産が売れるわけが無い。貸し出し金利以上の運用利回りが得られなければ、投資をする意味がないからだ。

年収300万円時代になれば、そのうち、住宅関連支出は100万円を超えることはできないから、家族向けの物件は一千万円程度にならないと需給バランスが取れないだろう。先進国はどこでも住宅の価格は年収の数倍が常識だからだ。

そうしてジャパンプレミアムがはがれてくれば、日本の株価は配当に対して明らかに高すぎるということになり、その分は調整しなければならなくなるだろう。

中国の経済発展で日本の地位が相対的に下がるのは既定路線であるが、日本がアメリカ型の実力社会になることによって、国民一人あたりの所得水準が向上して景気が回復するというが、そう簡単な話しとは思えない。

アメリカとメキシコの関係とは違うのである。むしろ、日本と中国の関係はイギリスとアメリカと例えられるかもしれない。

およそ、百年前までのイギリスは先進工業国であり、アメリカは農業国であった。二回の世界大戦で国土が荒廃したヨーロッパからアメリカに覇権が移行したのは戦後になってからであり、超大国アメリカの歴史はそれほど長いわけではない。

せいぜい、数十年前にはイギリスが世界の中心であったことは忘れられてしまい、アメリカ以外のアメリカに文化が近い国としか思われていない。

このような地位の逆転が起こった主要な原因は、イギリスなどのヨーロッパ諸国では得られない土地がアメリカ大陸で得られることから、人口の流出が起こったからである。

小泉政権の描いたシナリオが破綻すれば、再び、日経平均は一万円割れを目指すのが当然である。