フランス新植民地主義の陰謀

フランサフリック―アフリカを食いものにするフランス

フランサフリック―アフリカを食いものにするフランス

植民地主義には二つの潮流がある。イギリス式とフランス式である。
イギリス式というのは、現地の実力者に権力を与え、イギリス人はその利益だけを吸い上げるのに対してフランス式は現地をフランス化することにある。

したがって、カンボジアプノンペンベトナムサイゴン(現ホーチミンシティ)は東洋のプチパリと呼ばれ、旅行者は美味しいフランスパンやケーキを楽しむことができるわけだ。

経済的利益という観点からすると、成功といえるのは圧倒的にイギリス式だった。時代が植民地主義から民族独立へと傾くと、本国へあっさりと帰還したのは、イギリスらしい合理主義であるが、フランス人は、一応、アフリカの植民地を独立させる形を取り、旧植民地に積極的に関与する政策を取った。

これは、一つには宗教的な背景がある。アフリカには多くのキリスト教徒がいるが、これはカトリックが積極的に教化しためである。

イギリス人はそもそも、現地に宗教を持込もうとしなかったのだが、これは現地の習慣を尊重したからではない。なぜなら、イギリスのような海洋国家というのは、基本的に祖先は海賊であって、他から奪い取る文化なのである。現地には何も与えず奪うだけなので、非常に儲かったということなのだ。

つまり、イギリス式というのは現地のことはどうでもいいわけだが、フランス式が現地をフランス化するのとは違って、イギリス式は現地のモノや奴隷を持ってくるため、現地の事情が良くわかり、また、色んな研究が進んで科学技術の発展にもつながった。日本はフランス式に近いやり方を取ったのであるが、フランス式というのは現地にフランスを持っていくわけだから、現地のことはわからないわけである。

これは日本は島国であって本来はイギリスに近いはずなのに、初期の日本陸軍はフランス式の編成を取ったからであろうが、歴史的に見ても海洋国家でありながら、陸の兵を主体とする源氏が実権を握り、水軍を主体とする平家が滅亡したこととも関係がありそうだ。

つまり、日本は海洋国家でありながら、陸軍国であるということが、イギリスとの最大の違いで、アメリカはもちろん、イギリス式に近いわけであるが、アメリカは積極的に日本の研究をしたのに対して、日本は単なる上辺だけの真似であり、これがアメリカとの戦争に負けた大きな要因になっている。もともとは、世界を分割した二大勢力であったのに、フランスが米英に負けたのと良く似ている。

いずれにしても、アフリカで起こっている諸問題は、部族間対立を煽り、ルワンダのように元々、同じ民族であったのを神話を作り上げて別の民族として争わせ漁夫の利を得ようとする新植民地主義に責任がある。アフリカ人同士では解決できない問題を作り上げて、その調停者として白人がアフリカに再び戻ってこれるようにしたのだ。南アフリカマンデラが偉かったのは、そういう他のアフリカ諸国を見ていて、白人を追い出すことで問題が起こることを知っていたからである。

アフリカの半分は旧仏領であり、イスラム教徒やヒンズー、仏教徒が多いアジアとは事情がことなるのである。日本の植民地主義というのは、それが当時の潮流であって先進国の義務であったから、それを単なる真似しただけであって、経済的観点から言っても失敗であった。

しかし、イギリスやフランスも日本も共に植民地を失った後、英仏が衰退して日本が経済大国になったことは日本が誇ってよいことである。その意味でも、町山氏のブログ(http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/)でルワンダ大虐殺を日本に当てはめて解説しているのは、前提条件に大きな誤りがある。

ある意味で、嫌韓という動きは、韓国人にとって良いことなのだ。

ようするに、嫌韓というのは、韓国人と関わるなということであって、旧仏領のカンボジアや旧ベルギー領のルワンダのように大国が旧植民地に積極的に関与する過程で起きたこととは、まったく質がことなるからである。

むしろ、ルワンダの悲劇は、吸い上げる資源が無いために大国が見捨てたことにあるわけで、もし、これを日本に当てはめて考えるならば、町山氏のブログ(http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/)では韓国を見捨てないでくださいというべきなのである。