もうあれかもしれんね

日本株は今日も弱いですね。

デジャブーでしょうか? このチャートどっかで見たこと無い?

ところで、日銀が量的緩和を解除して、いずれゼロ金利が解除されることは、ほぼ、規定路線と言ってよいでしょう。世界的にはインフレ退治のために金利を上げてきているわけですから、いつまでも日本だけがデフレ退治でもないからね。

デフレとはいうまでもなく物価が下がることで、インフレというのは物価が上がることであります。株というのは一般的にはインフレに強い金融商品だということになっています。しかし、そう主張する人は、コストプッシュインフレ、それから金利上昇による資金調達コストが企業経営を圧迫することを都合良く忘れているようです。

材料費が値上がりして、これが企業の収益を圧迫するのは当たり前のこととして、インフレでなぜ金利が上昇するのかというと、今日の一万円の価値と一年後の一万円の価値が違ってくるわけですから、金利というのはリスクに対するプレミアムなわけです。たとえば、インフレ率が一%だとして、今日、一万円分買える同じ物を、一年後には1万十円必要になるわけなので、その分を補填しなければ誰もお金を貸すわけがないです。つまり、これが金利です。

ちょっとした規模の会社なら三億円くらい負債があるのも珍しくないですが、負債が三億円だと金利が一%で三百万円で労働者を一人雇えるくらい違ってくるわけです。

仮に、ゼロ金利解除で金利が一%になったとしましょう。金利が一%上昇するということは、たとえば変動金利で住宅ローンを組んでいる人で、三千万のローン残高があるとして、金利負担が年間で三十万増えるわけです。

もともと、お金持ちの人なら三十万くらいなんでもないかもしれないけど、庶民にとっては一か月分タダ働きになってしまうくらいの大問題です。

インフレに見合うほど賃金が上昇しなければ、(その可能性は非常に高いのだが)金利の分だけ需要が低下することになるんですね。常識的に考えて、いまでも住宅ローンでギリギリの生活をしているサラリーマン家庭で金利上昇分を負担できなければ、泣く泣く住宅を手放さないと仕方が無くなり、不動産価格低迷の理由になるわけです。

「インフレになれば不動産価格が上昇しますから、少しくらい金利負担が増えても長い目で見れば得なんですよ。」と騙すのは簡単かもしれないけど、現実的な問題として、家計を切り詰めるか、不動産を売るのかどっちか選ばなければ成りません。

はっきりしていることは、不景気でのインフレというものは、金融市場に対しては、どっちにしても悪い影響を及ぼすということです。これは仮説としていっているわけではなく、インフレ期の昭和40年には戦後最大の証券不況と呼ばれ、当時の四大証券の一角であった山一證券救済に日銀特別融資が実施されたことを忘れてはなりません。そもそも、日銀特融というものが証券会社を救済するために行われたこと自体がとんでもない非常事態であったわけです。

  • そもそも、なぜ昭和40年に証券不況があったのか?

昭和40年といえば、東京オリンピックの翌年なんですね。つまり、オリンピック景気で非常に景気が良かったのが、その翌年には早くも不況に突入していたわけです。そう聞いてヤバイんじゃないかとピンとキタ人も多いでしょう。現在の日本企業の業績回復は中国要因による部分が非常に大きいわけですが、これもオリンピック景気によるものだからです。

ちなみに、この証券不況による株価低迷は約十年に及んだのであります。