格差解消に舵を切る英断を求める

ちなみに、木村剛さんはこう主張している。

http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_eb47.html
国内における格差解消に注力した結果として、世界の競争において格差をつけられ、日本全体として没落していくようでは前途が危ういからです。

まず、客観的事実の指摘として、格差の解消に努めることが国際競争力の低下につながるという議論は全く根拠がありません。終戦直後、中南米に移民する日本人が多くて、これはだいたい、昭和三十年代くらいまで続きました。これは何故かと言うと、中南米の方が日本よりも見込みがあると見られたからです。

これは、現在のBRICsブームと似ていて興味深い事実ですね。

ところが、その後は周知の通り、先進工業国の方が農業生産性が高まって、農産物価格が低迷したことによって、中南米諸国において深刻な経済危機に直面しました。中南米は、東南アジアと比較しても大きく水をあけられることになったわけです。

BRICsというのは、定期的にブームが起きる地域なのだが、歴史的に見て一時的な好景気はあったとしても、それが継続的な経済成長につながったことと言うのは無いわけであります。

東南アジアではそれなりの格差は残っているとしても、理念として格差解消に動いて、農村を立て直さないとどうしようもないということで、農村と都市部の格差を是正する動きが顕著であったというのがあります。極端なところでは、元々、同じ国だったのに、裕福なシンガポールをマレーシアが追い出したという事例すらあります。

中南米では格差の解消に着手されませんでした。

アメリカはフィリピンでは徹底して共産党を弾圧している政権を支持し、日本では共産党を合法化しています。日本では土地改革で小作人がが自作農になりましたが、フィリピンでは地主階級の権利を保全しました。

アメリカ統治下でインフラ整備が進んだことで、フィリピンは昭和三十年頃まで東南アジアでは割と比較的に豊かな国とされていましたが、現在では経済がボロボロになって立ち行かなくなり、東南アジアでは最も海外に出稼ぎ、移民を出している国になっています。

単純に比較できませんが、中南米とかフィリピンのように格差が激しくてアメリカの影響力の強い国の方が国際競争力が弱いわけです。まず、そのあたりの客観的事実を前提にしないと、まともな議論にならないでしょう。