救いようの無い人たち

今日は恵比寿にいってビールを飲んできた。
恵比寿といえば、昔あった恵比寿ビール工場の跡地であるということは有名な話で、企業の名前から地名を取った街でもある。これがとても渋谷の隣とは思えないほど、広大な敷地にバブルの残りカスのような恵比寿ガーデンプレイスはある。知らない人に見せたら、とても都心とは思えず、どこか郊外だと思うだろう。これはある意味で現代日本を象徴しているような施設なのだ。
恵比寿には何度か来たことがあるが、今回、驚いたのは郊外から恵比寿まで直接乗り入れることができることだ。埼京線が乗り入れていることはしっていたが、宇都宮線横須賀線東海道線の電車が乗り入れていることには正直、驚いた。もちろん、日比谷線東横線にも通じているわけだから、なるほど、郊外のような感じがするわけである。
企業が、工場で生産するよりも、宅地、商業地として売り出した方が儲かる式の発想で郊外を再開発をするのは、非常によくあるパターンだからだ。恵比寿の再開発計画もバブル期と丁度同じ時期に進められている。
そして、皮肉なことに、敷地が広い割には歩行者がそれほど多くないというのも、郊外に非常に良く似ているのである。隣の渋谷の混雑ぶりに比べると明らかに人が少ないのである。
それはなぜなのか、そもそも、なぜ、企業がこれほどの土地を売りに出したのか、それが問題なのである。
企業が取得した土地というのは、時価ではなく簿価になっていたため、たとえば、A社が百パーセント子会社であるA開発という会社に取得原価10億円の土地を百億円で売却した。その90億はA開発が上場して株主から集めたお金で調達しているので、持ち出しはゼロである。こうして、書類上の操作だけで90億円の利益が出るという話が良くあった。右から左に移すだけで、と言う話は良くあるが、この話は不動産の話だけあって、一ミリさえも動いていないのである。
どっかで聞いた話ではないか。ライブドアのことである。そもそも、ライブドアフジサンケイグループに喧嘩を売ったのは、公式的には10円くらいと発表されていたものが、実は100円くらいの価値があると見抜いたので、そんなに安く売るなら買いましょうと、ただ、それだけの話なのである。
つまり、フジサンケイグループも粉飾をしていたということになる。本来、十倍の価値のあるものを、わざわざ安く見せかけていたからである。

そもそも、フジサンケイグループは資金を市場から調達する必要が無かった会社であり、上場する理由も無かったのである。そもそもの話の発端が、フジサンケイグループがお台場に移転する費用を、土地を売却したお金でまかなえるはずだったのが、バブルの崩壊で予想を下回る値段でしか売れなかったので、その付けを投資家に回そうとしたことにさかのぼるのである。
ちなみに、お台場に本社フジテレビの新本社ビルが完成したのは1997年(平成9年)3月。フジテレビが東証一部に上場したのが、1997年(平成9年)8月 のことであり、ニッポン放送東証二部に上場したのは1996年(平成8)12月である。
ちなみに、ニッポン放送は改築のために一時的にフジテレビ本社ビルに移転していたが、改築終了後に再移転している。
つまり、投資家をはめ込むつもりだったフジサンケイグループが投資家の逆襲を受けた形である。まさに、目くそハナクソである。そもそも、投資家を馬鹿にしているフジサンケイグループの株など買うべきではなかったともいえる。

ではなぜ、フジサンケイグループの幹部は逮捕されなかったのか?
国自体がこれを合法だと認めていただけでなく、国自体が同じことをしていたからである。
NTT株のことである。そもそも、なぜ、NTTに将来性があって、NTT株を買いさえすれば必ず儲かると思い込むことができたのだろう?
郵政民営化も同じことである。どうして、国の事業を民営化するだけで全てが良くなると思い込むことができるのだろうか?
官よりも民の方がより良い経営ができて、無駄遣いを無くせるというなら、まず、郊外の惨状を見てから言って欲しいものである。
ようするに、検察の言っていることは、ライブドアのしたことは道徳的に間違っているから、法的にも違法であるということだが、これはどこぞの発展途上国ではなく、紛れも無く日本の話なのである。