良くわからないライブドア問題

マスコミはただ単に検察からのリークをそのまま記事にしているようだが、非常に情けない話である。法的な判断は司法の判断を待つ他ないのだろうが、道徳的な話は坊さんにでも任せておけばいいわけで、あまりくだらない話でほりえもんを叩こうというのはいかがなものか。

粉飾決算証券取引法違反のような経済犯罪は、ようするに株主から泥棒したという話であって、これで儲けただの損しただのという話は、当事者そっちのけで論じてもあまり意味がない。

一番不思議なのは、ことの本質を誰もが見落としていることである。たとえば、粉飾決算の話で、ライブドア本体から子会社に資金を付け替えたり、あるいは、その逆をしたことが粉飾にあたるというのだが、これがなぜ、不正なのか全く理解できないのである。

これはようするに、親子間でお金を融通しているようなもので、家全体としてみればその行為でお金が増えたり減ったりしているわけではない。ライブドアグループ全体として、お金が増えたり減ったししないということは、株主の利益を損ねたわけではないから、これを粉飾決算というのはおかしいのである。

実際に使ったわけではない経費を水増しして利益が出ていないように見せかけたり、損失を隠して実際は利益が出ていないのに利益が出ているように見せかけて株価を吊り上げるのは、確かに問題となるだろう。しかし、ライブドアグループ全体での損益を合算した場合、結果的には計算が間違っているわけではないのだから、株主として、これが問題であると考える人はいないであろう。だからこそ、ライブドアの株主は怒りの矛先を検察に向けているのである。

そもそも、子会社と親会社の関係というのは、別人格であったとしても、資本による支配関係があることから、実質としては同一のものと見るのが会計の常識なのである。むしろ、連結決算の対象となる、子会社の損益を親会社の方に反映しないことは、その方が明確に不正なのだ。
だからこそ、この実質的な支配関係を見て、ライブドアが実質支配している投資組合が企業買収を行ったことについて、これをライブドア本体が実質的に企業買収したと見なし、その後に、ライブドアが子会社化することを発表したのを、証券取引法違反であると検察は主張しているわけだが、この態度はまったく矛盾していると思う。