見沢知廉氏死去

まさか、と思った。やっぱりとも思った。

作家として有名な見沢知廉氏は獄中の様子を書いた人で、まだ若く男前でもある。

死因は自宅での転落死であり、遺書は発見されていないが、遺族は自殺と発表した。
彼は元暴走族、元過激派の作家であり、三島を尊敬もしていたから、仮に死を選ぶにしても、それなりに意味がある死に方をしたはずである。これは恐らく獄中の過酷な生活を原因とした「病死」なのだ。

犯罪者の更正としては、刑務所はかえって有害であるというのは、良く聞く意見である。
作家で一応、成功した彼が死に追いやられたのだから、刑務所での十二年は、やはり国費の単なる無駄遣いといわざるを得ないだろう。

英雄はいつまでも若いという言葉を思い出したが、彼には適切ではないだろう。しかし、確かなことは、彼の肉体は滅びても思想は滅びないということである。

タイでの対テロ戦争も完全に破綻している。国家権力の過酷な弾圧はかえってテロリストを育てるという事例である。

政治犯として、国家権力から精神病者とされた彼が受けた「治療」については彼の著作に詳しいので一読をおすすめする。

それにしても、惜しい人ばかり先に逝ってしまうものだと思う。