パタヤに行こう

チェンライで仲良くなった飲み屋のお姉さんに「パタヤに行こう。」と誘われた。この短いフレーズの間に、「姉妹もいっぱい来るし、飲み食いはすべて貴方持ちよ。」という意味が含まれていることを理解できなければタイ初心者であることは言うまでもない。

なんで、姉妹が来るのかというと、男女関係に厳しいタイでは、男女が二人っきりのデートというのはあり得ず、不健全なことをしないように、お目付け役が付いてくるということである。

不思議なのは、お目付け役がどうして五人も必要なのかということではあるが。

ちなみに、タイで彼女とは、「恋愛関係にある女」という意味ではなく、「何の気兼ねもなく男の金を使える女」という意味である。あと、姉妹とは、「血縁関係にあるという意味ではなく、単なる女友達。」である。

「あなたの妹にして〜。」という意味不明のお願いをされることがあるが、「妹になる前にまず、ヒゲをそれ!」という突っ込みをしたくなることもある。タイにはオカマちゃんも多いが、どっから見ても完璧な女の場合と、単におじさんがスカートをはいただけとオカマ度もピンきりなのだ。

きちんと改造していれば良いというわけでもないが。

お金を貸してというのは、お金を頂戴という意味。「タイでは日本人名義で家が買えないから、彼女名義で家を買って住んだら?」というのは、彼女に家を買ってあげなさいという意味である。

そんなわけで、日本での常識とタイの常識が違うため、タイでだまされた〜と怒り出す人も少なくないが、そんなのは、タイの屋台で売ってるルイビトンのバックが本物だと思い込むのと同じだ。

そんなわけで、「パタヤ?そんなとこにみんなで行くなんて、いったいいくらお金がかかると思っているんだ!」といって怒り出してはいけないのだ。実は、このお姉さんがいっているパタヤとは、バンコクの南にある国際的に有名なビーチリゾートのことではなくて、チェンライパタヤのことなのである。

このチェンライパタヤとは、ただ単に川岸に屋台とかバンガローが並んでいて、水辺で飲み食いができたり、水浴びができるだけのとこなのだが、地元の人はパタヤと言っているのである。

まあ、本物のパタヤと似ているのは、水が濁っているので日本人的にはあまり泳ぎたくない環境ではあるのだが。

まあ、ようするに、チェンライパタヤとは日本で言えば戸越銀座みたいなものである。

タイ人というのは水の民であるわけで、水辺で飲み食いをすることは、中々のハレの日であるが、日本人的には多摩川でバーベキューをするのと同じで大した意味もないため、日本のガイドブックにはチェンライパタヤのことは載っていないのだ。

そんなわけで、「貴方は何を食べるの?」「俺は腹いっぱいだから飲むだけでいいよ〜。」というわけで、お姉さんたちはめいめいに食べたいものをオーダーするのだが、これが、ぜんぜん遠慮がないのである。

もちろん、「お目付け役ではなくて、ようするに、あんたたちが飲み食いしたいだけだろ?」などと野暮な突っ込みはしてはいけないのである。これは、タイではタンブンといって、功徳になり、お姉さんに飲み食いをさせれば、死んだあと天国にいけるのである。

日本人がお金を騙し取られているように見えるかもしれないが、そうではなく、タイでは、日本人に徳を積ませることがすべての基本になっており、これは中々、ありがたい話なのである。

たしかに、そんなような気もしてくるから、タイというのは面白い国ではある。タイでウイスキーを一本開けるような宴会をしても、結局、二千円くらいしかしないしね。


ちなみに、タイの金持ちは貧乏人とは絶対付き合わないと言われている。