さて、来週は?

今週は暴落納会で終わったが、来週は発会がある。発会といえば高いか安いかといえば高くなる可能性が高いし、灯油の需要期に向けた限月とガソリンの非需要期に向けた限月が発会する。


サヤ取りの基本的な考え方
灯油とガソリンは石油から精製されるため、基本的には値段は同じくらいになるはずです。ところが、実際にはそうならず、たいてい灯油とガソリンの価格差が発生します。これは何故かというと、灯油とガソリンは季節によって需要が異なる性格を持っているからです。

その価格差を取りにいくのがサヤ取りです。
灯油は冬に向けてあらかじめ在庫を積み増しする必要があり、その関係で9月に高くなることが多いが、反対にガソリンは夏場の需要期をすぎた9月には比較的安くなる可能性が高いといった感じです。価格は結局、需給で決まるのですから、季節的な需給動向はとても重要です。

よく、相場をやる人に、相場が必ず儲かるものであれば、まじめに働く人はいないという批判がありますが、季節的なパターンは毎年同じようにあるため、そのような批判は当たりません。
 季節性にしろなんにしろ、投資家に有利なパターンを見つけることが勝利への道であると思います。


★灯油のさや出世に期待する
中部灯油を見ると暴落納会といえども当限である4月は47,410円で引けた。これに対して5月限の終値は44,190円である。なんと、4月限と5月限という一ヶ月違いで3220円ものさやがあるわけだ。当限よりも先の方が安いことを逆ザヤといって、期近に接近すると値段が高くなることをさや出世という。

他の条件が同一であれば、逆ザヤではさや出世が起こる可能性が高くなる。そのため、逆ザヤでは長期的なポジションでは買いが有利であり、売りは不利であるということになる。
逆に、ガソリン4月限は43,000円、5月限は46,440円ということで、期近の方が安い順ざやとなっている。順ざやの場合は逆ザヤと反対で、期近の方が安い訳だから、段々と安くなるさやすべりという現象が起こる可能性が高い。

つまり、比較的灯油は高くなりやすく、ガソリンは安くなりやすいと考えて、灯油買−ガソリン売のポジションを作ったということ。灯油とガソリンのさやの縮小をを狙ったものだ。そこで、含み損は一時的な現象と考えてポジションをあえて持ち越したわけだ。

普通は、これから暖かくなるのに、どうして灯油が高くなるのと考えるものだが、冬場の需要期をすぎて灯油の在庫が減っているのと、夏場のガソリンの需要期に向けてガソリンの在庫を積み増しする必要があるためと考えられる。

冬はこれとは逆に、灯油の需要期であるため在庫が多いので、むしろ、ガソリンと比較して灯油価格は低迷する傾向がある。


★とはいっても、6月に向けてさや拡大の可能性も否定できない
しかし、これとは別の不安がある。今日の灯油の暴落の幅がガソリンよりも拡大したのは、それなりの理由があるはずである。可能性が高いのは、6月はガソリンが高くなる限月であるのにたいして、灯油は非需要期なので安くなる可能性が高い。つまり、6月にむけてさやが拡大する可能性は多いにあるということである。

実際、同じ中部の6月限で比較すると、ガソリンは440円安でガソリンの他の限月と比較しても下げ幅が少なく、逆に灯油はSLになったのは当限のため値幅制限のない4月限をのぞけば、5月と6月、9月である。
現在のところ、灯油6月限とガソリン6月限のさやは今日の終値で比較すると、5620円にも拡大している。
これ以上さやが広がる可能性はあんまり高くないんじゃないの、と思ったが果してどうなるのでしょうか。


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★補足します

くわしいことは上の参考書席を参照していただくとして。サヤ取りについて説明不足なんじゃないのというご指摘があり、補足したいと思います。前述のサヤ取りはシーズナルスプレッドを利用したストラドルと読み替えていただくとよろしいかと思います。ただ、これではあまりにも長すぎるのと、一般的には何のことやらわけがわからんということになりかねないため、単にサヤ取りとしました。


サヤ取り用語

シーズナル→季節性
スプレッド→期先と期近の値段の差
ストラドル→異銘柄間の値段の差
アービトラージ裁定取引。異なる市場間での取引。現物−先物など。
オカメ→中限が、当限、先限より低いときのサヤ
テング→オカメの反対。