いまどき、先物がギャンブルだなんてねえ

商品先物をやっていると、「ギャンブルをしている馬鹿な奴」みたいな言い方をされますけど、別に商品先物はギャンブルでもなんでもありません。

たとえば、金一キロを保有しているとしましょう。金は毎日、価格が変動するので、価格変動リスクがあります。これをなんとかしたいと思えば、先物で金を一キロ売るというアイディアがあります。

いわゆる、売りヘッジですが、価格変動リスクをヘッジするために必要なコストは売買手数料だけです。フジフューチャーズの場合は、損切り手数料が無料ですから、今後、金価格が上昇するとすれば、手数料さえもかからないわけです。

かりに、先物売りを決済したとき、50万円の差損が発生しているとしましょう。その分は別の取引の利益と合算することにより、節税もできるわけです。その分、現物の価格も上昇しているわけですから、実質的な損はありません。

話はこれでおしまいではなく、金の価格は何種類もあることに注目して、さやを取ることも可能です。

たとえば、先週終値で比較します。金の12月限は1450円でした。2月限は1446円ですから、12月限の方が4円高いわけです。

この、12月限というのは、12月に取引する価格を先に決めておくというくらいの意味ですが、別に12月を待つ必要はなく、12月までに決済すればよいのです。

これに対して、田中貴金属では税込み小売価格が1,568円です。
先物現物の価格差は実に、122円にもなるわけです。ということは、同じ金一キロなのに、先物で買う場合は、12万2千円も現物より安く買えるということになります。

ここで一つの疑問が発生します。2月限の方が4円安いのに、どうしてわざわざ12月限を買うのでしょうか?

逆でしたね。12月限の方が4円高いのですから、先に売ってしまいましょう。そして、2月限りを買いましょう。

2月に1446円で買うことになる金の一キロは、12月にいくらで売るということは気にする必要がありません。すでに、先物で4円高く売ることは決めてしまっているわけですからね。
ということは、手数料を無視すれば、4円は必ず儲かるわけです。

つまり、2月に4円安く仕入れた金を12月になってから引き渡せば、取引は終了です。

ですが、実際は現物市場の方が有利に売れるはずですから、田中貴金属に売却して、その代金で先物で売った金を買い戻せばもっと儲かるはずです。注目すべきは、先物と現物の価格差だけであり、金価格の変動は考慮する必要がありません。

また、別のアイディアもあります。
仮に、12月に金価格が下落していた場合は、先物で利益が出ますから、先物を決済して、差額を受け取り、その差額で現物を買い増すという方法です。そして、もう一回、先物で売ります。

そうすると、現物を買って先物で売るというのは同じですが、どういうわけか、金の量が増えています。

もし、金価格が上昇している場合は、先物だけを決済すると損になるのですが、現物価格も上昇しているため、評価損はないのは、最初に述べた通りです。